藤織り

7月19日に丹後郷土資料館に会場設営のお仕事で伺いましたが、その時あまりの暑さに涼を求めて入り、見学させていただいた資料館の中に、とても素敵なものを発見しました。

≪藤織り≫ってご存知ですか?

古くは縄文時代から伝わり、私たちの先祖が日常着として、作業着として身体にまとい、命を守るために使われていた大切な衣装として利用されてきていたそうです。4月の終わり頃から6月の初めにかけて、山々を薄紫の花で彩る“山藤”の蔓から生み出された繊維を紡ぎ、糸を撚って織られた布は、綿の普及に伴って衰退し、昭和に入るころには消滅した技術、文化と考えられていたそうです。しかし、この技術は丹後の山深い「世屋」に昭和の時代まで残って伝えられておりました。まさにその技術を伝える最後の一人の方から、丹後資料館の職員の方がその貴重な技術を受け継ぎ、今復活されようとしているそうです。

『原始布』の≪藤織り≫は、山藤の蔓を刈り取り、その木の皮をはがして、不純物を取り除き、洗い流し、その取り出した繊維を紡ぎ、糸にされたものを西陣で使われていた織機で織り上げていきます。手触りはザックリとした感覚とともにサラッとした触感があり、例えるなら厚手の麻布という感じでしょうか。丹後資料館には実際に作業着として使われていた藤織りの半纏が展示され、ちょっとだけ触れることもできますが、何年も前から使用されていた布とは思えない…今出来上がったといっても信じてもらえそうなくらいに…丈夫で清涼感があります。使用感満載の“くたびれた感じ”など、微塵も感じません。

この藤織りを丹後の絹織物と融合させた美術品ともいうべき作品を作られているの遊絲舎さんで、その作品を見せて頂くとともに、お話を少しだけうかがってきました。

IMG_2206IMG_2222IMG_2221 藤の蔓を糸にするまでには、何段階もの大小の手を加えます。これがこの藤布を織るまでの作業の中で一番手間と時間がかかります

IMG_2217IMG_2218IMG_2219 二本の帯の薄茶の部分は藤糸で、他は絹を使った帯地です。衣桁にかかった布はフランスに招かれて展示披露したものだそうです

IMG_2213IMG_2212IMG_2214 いろいろな小物も作られています。コースターは縦糸は絹、横糸が藤糸です。札入れの表面に使われている薄茶の布が縦も横も藤糸を使った“藤織り”です。このように他の素材と組み合わせた作品はいろいろありますが、財布やバッグでも、革の方が先に傷んでダメになる…とおっしゃっていました。藤織りの丈夫さを物語るエピソードです。価格について語るのは…やめておきます。

丹後は縮緬が有名です。でも、その高価な晴れ着として利用されていた織物だけでなく、庶民の生活に生かされていた素材と技術が、今見直されてきているのは、地域振興のためにも、豊かな生活の原点を見直すためにも、おおいに嬉しいことだと思います。

 

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